ashleyの心理大学院試験対策

参考文献 公認心理師試験対策研究会 心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 心理学専門校ファイブアカデミー 2021年版 一発合格!公認心理師対策テキスト&予想問題集

知的障害

 
知的能力障害は、知的発達期に発症する全般的知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害のことである。


診断のためには、3つの基準がある。
①臨床的評価および、個別化、標準化された知能検査によって確かめられる知的機能の欠陥がある。
②個人の自立や社会的責任において発達的及び社会文化的な水準を満たすことができなくなるという適応機能の欠陥がある。
③知的及び適応の欠陥は、発達期に発症する。


①は、WISCやWAISでは、2標準偏差が低い値であるIQ70未満が知的能力障害を診断する基準になる。
②記憶や言語、数理的思考、問題解決などの認知、コミュニケーション、学業に関わる概念的領域や、共感、対人コミュニケーションスキルなどに関わる社会的領域、セルフケア、金銭管理、仕事の責任、課題の調整といった実用的領域の3つ領域が水準を満たしておらず、困難さが生じることが基準となる。
③は、知的発達年齢は、18歳以下とされている。


知的能力障害の原因は、様々であり特定できないことが多いが、主に遺伝的要因と環境的要因の素王後に関連しているとされている。


原因が明確な知的能力障害の中最も見られるのは、染色体異常で、特にダウン症が多い。ダウン症は、21番目の染色体が一本多く、3本存在する常染色体異常(トリソミー型)と呼ばれている。高年齢での出産であるほど、その頻度はタックなり、40歳以上の出産で子ども100人に1人の確率とされている。


支援としては、原因が明らかな場合は、それに対する治療が行われる。乳幼児期のスクリーニング検査により、初期からの治療が可能になれば、知的障害の発症や進行を防ぐ可能性が出てくる。また、日々の生活の中で感じるストレスをうまく解消できず、情緒的な混乱や身体症状、問題行動が見られることもある。こうした問題に対して、一時的な薬物療法が有効な場合もあるが、本人の能力を高める資源の活用法を検討することで、適応も可能になっていく。それらと伏せて、育児支援レスパイトケアによる家族への支援も重要。
 

観察法

観察法


観察法とは、言語報告を要求せず、特定の対象者の行動を第三者的立場から客観的に観察し、記録、分析していく方法である。
観察法は、特定の場面や状況におかれた、個人や集団の行動様式を理解するために有用な方法である。


観察法の種類は、自然観察法、実験的観察法、参加観察法がある。
自然観察法は、自然な状況で手を加えず、ありのままの日常での対象者の行動の様子を観察する方法である。
実験的観察法は、観察者が特定の条件設定をした、実験的な状況・場面のもとで、対象者の行動を観察する方法である。
参加観察法は、対象者の日常の生活場面において、観察者も共に行動しながら、対象者の行動の様子をより近くで、詳しく観察する方法である。


長所は、言語を要求せずデータを収集できるため、乳児や高齢者や障害者にも用いることができることや、観察状況、行動の経過を記録でき、対象の全体像を捉えることができるといった点がある。また、自然観察法では、場所と時間に関わらず用いることができる。
しかし、行動の法則性や因果関係を明らかにはできず、観察者が対象者に影響を与える観察バイアスが生じること点がある。特に参加観察法では、観察者の存在により対象者の行動変容を及ぼす可能性が大きいため、黒子に徹しなければならない。他にも記録が主観的になりやすいといった短所もある。
 

心理学

 
心理学
 
心理学とは、誰もが観察できる「行動」を研究対象として、実証性と客観性を重視し、実証科学である。

 

観察法、実験法、調査法、検査法、面接法を用いて、客観的にデータを収集し、理論や仮説を検証し、心理学の知見を得る、という科学的な手続きが用いられる。

 

また、データを収集する上で、誰にでも利用できる公共性の高いもの、収集されたデータの手順が統一されている客観性を備えていることが重視される。

χ二乗検定

χ二乗検定


χ二乗検定は、名義尺度間の連関について検定する手法である。

 

χ2乗検定では、クロス集計表を作成し、1×3以上、2×2、また2以上×2以上のクロス集計表の頻度・割合に差があるかを調べる際に用いる。


1×3以上、2×2の場合は、効果量はφ係数、2以上×3以上の場合、効果量はクラメールのVになる。
1×3以上のクロス集計表の場合、独立変数はなしで、従属変数が名義尺度3水準以上である。例として、ある会社の従業員の血液型を調べ人数に偏りがあるのかを調べたいといった場合は、1×4のクロス集計表となる。


2×2のクロス集計表の場合、独立変数が名義尺度2水準で、従属変数も名義尺度2水準となり、度数が40以上の場合に適用する。度数が40以下の場合は、直接確率計算を行う。1×3以上、2×2の場合は、効果量はφ係数になる。


2以上×2以上のクロス集計表の場合も、独立変数が名義尺度で従属変数も名義尺度となる。
実際に測定された観測値と全体の度数の比率から算出された期待値がどの程度一致しているのかを検討する。χ二乗検定の結果が有意な場合、下位分析として残渣分析を行う。

重回帰分析

重回帰分析について
 
重回帰分析とは、2つ以上の予測変数から、1つの目的変数を予測する手法である。どちらも量的変数の場合に適用できる。例として、両親の身長から子どもの身長を予測するなどがある。
複数の予測変数Xが変化すると、目的変数Yの値がどのように変化するのかを、直線的な数式、重回帰式で表すことができる。
重回帰式は、Y=β1X1+β2X2+…βnXn+Cで表される。Yは目的変数で、各βは標準化偏回帰係数、各Xは予測変数、Cが定数である。このように、1つの目的変数は、複数の予測変数、標準化偏回帰係数、定数によって決まっている。
標準化偏回帰係数(β)は、予測変数の分散を一致にしたときの、予測変数の目的変数への影響力を示す指標である。標準化していない偏回帰係数は、予測変数間の変動の大きさの影響を受けてしまうため、予測変数間の相対的影響力を査定できない。そのため、標準化偏回帰係数を用いることで、予測変数間の影響力を比較することが可能になる。
相関係数は、標準偏回帰係数と予測変数の積である予測値が目的変数をどの程度説明しているのかの表している。
この重相関係数を2乗したものが、重決定係数である。重決定係数は、予測の精度を表す指標であり、0〜1の範囲をとり、大きいほど予測が正確ということである。
重回帰分析では、予測変数間に高い相関があると、結果が歪んでしまう多重共線性に注意が必要である。多重共線性の診断をVIFといい、一般にVIF>5、または2あると生じているとされている。対処法として、相関の高い変数の削除が必要となる。また、重回帰分析では量的変数しか適用できないが、性などの2水準の名義尺度の場合、予測変数に用いることができ、これをダミー変数という。
結果の書き方は、重決定係数は、F検定と同様で、R^2=重決定係数、F(主効果の自由値、誤差の自由値)=F値、p<有意確率で表す。標準化偏回帰係数の場合は、t検定と同様で、β=係数、t(自由値)=t値、p<有意確率で表す。
 

横断的研究と縦断的研究

横断的研究と縦断的研究
 
研究において、データの収集時点により、横断的研究と縦断的研究に分けられる。


横断的研究とは、ある時点における対象の状況を調査する方法である。例として、年齢別の知能を比較するため、様々な年齢集団に知能検査を行う研究は、横断的研究である。
横断的研究の長所は、地域や年代など幅広い対象に短期間で調査が行えるため、時間や労力が抑えられる点である。
短所は、影響する要因の関連は分かるが、因果関係が明らかにできない、他の要因の影響を受ける、連続性がないことがある。


縦断的研究は、個人や同一の対象集団を長期間に渡り追跡調査する方法である。例として、ある人の知能の変化を調べるため、長期間に渡り知能検査を行う研究は、縦断的研究である。
縦断的研究の長所は、連続的な変化過程や個別的な傾向を測定できるため、因果関係を明らかにできる点である。
短所は、時間や労力、費用が多く要することや、対象集団の集団成員が変化する可能性があることである。


縦断的研究の中でも、コホート研究がある。
コホートとは、一定の時期に、重要な出来事を経験した集団のことである。コホートの種類は、社会的変動経験、共通体験、同世代などがある。
コホート研究とは、そのコホートコホート以外の集団を比較する研究である。
長所は、コホートコホート以外の集団を比較することで、発病率や発生順序など要因について調べることができる点である。
短所は、縦断的研究と同様に、時間や労力、費用を多く要することである。

量的変数と質的変数について

量的研究と質的研究について
 
量的研究とは、実験法や質問紙法、観察法から量的なデータを収集し、統計手法を用いて、変数間の関係を明らかにする研究方法である。
量的研究では、何らかの仮説を立て、それを実証していく、仮説検証型の研究に適している。また、統計的な分析に基づいて、客観的な結果を得ることや、一度に多くのデータを分析できることから、結果の一般化を追求することも可能である。


質的研究とは、観察法や面接法、検査法により言語的な記録や行動といった質的データを分析することで、対象や事象についての解釈的理解を行う研究法である。
質的研究では、現実の事象に何らかの枠組みを与える、仮説生成型の研究に適している。また、量的研究では明らかにしづらい、対象者の思考や心理的過程を把握するのも可能である。
質的研究の種類として、KJ法や事例研究法がある。
KJ法は、収集したデータをカード化し、関連のあるものをグループ化することで、データの整理と分析を行う方法である。
事例研究法は、少数の事例において、対象者の言動や出来事についてその正規の文脈を重視し、詳細に記述し考察する方法である。


量的研究と質的研究にはそれぞれ長所と短所があるため、研究を発展させる上で、相互に補完し合うことが望ましいとされている。